今年4月25日、長野県阿智村に「満蒙開拓平和記念館」が開館した。全国で初めてのもので民間運営の施設である。年間の来館者数は、5000人を想定していたが3ヵ月後には1万人に達した。同館の役割や活動に関心が寄せられているからだ。
昭和7年に建国された「満洲国」では、「五族協和」と「王道楽土」を目指すことがうたわれていたが、実際は日本人が優位に立つ、いわば日本の傀儡国家だった。日本人は軍人・軍属を含めるとおよそ205万人、そのうち満州北部の広い地域に入植したのが満蒙開拓団で、その数はおよそ27万人にのぼった。
昭和20年8月9日、ソ連が侵攻したときから開拓団の悲劇が始まった。8万数千人が亡くなり、残留孤児や残留婦人など現在まで続く問題が起きた。